グレッチ家物語

こちらは Gretsch の G6119B Broadkaster。
数少ないグレッチのベースです。

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 グレッチのベースなんてかなり珍しいんじゃないか?

と思われる方も多いかもしれませんが、
グレッチはギターだけのメーカーではありません。

グレッチも1800年代からある老舗メーカーですから
永い永い歴史の中では色んなものを作ってきたことでしょう。

考えてみたら1800年代のミュージック・シーンを背景にグレッチ社は存在して、
ギブソンやエピフォンやマーティンだってそうですが、
2011年現在のミュージック・シーンに至っても
まだ楽器ブランドの中枢にドン!と存在しているのですから、
これは大変スゴいことですね。

ドイツからアメリカへの移民だったフリードリッヒ・グレッチさんが
グレッチ社を立ち上げた時は
これからこの会社がそんなに成長するとは夢にも思わなかったでしょう。

フリードリッヒさんはバンジョー、ドラムを作っていた会社から脱サラして
グレッチ社を始めました。

バンジョー、ドラム、タンバリンのような革を張る楽器を作って
楽器商に卸していたのが始まりです。

フリードリッヒさんは39歳の若さで急死してしまいます。
でも息子のフレッド君が父の意志を継いで頑張りました。

会社を継いだフレッド君は7人兄弟の長男でしたが、まだ15歳だったそうです。



学校から帰って来たフレッド・グレッチ(15歳)。

 ただいまぁ!母さん、腹へったよー!何かない? 
 ・・・えっ!何だって!父さんが病院に!

兄弟たちと病院に駆けつけたフレッドを見てベッドに寝かされていた
フリードリッヒは優しく微笑んでいた。

 おお・・。フレッド。来てくれたのか・・。心配かけてゴメンな・・・。

 父さん、大丈夫なの!

 ハハハ・・・。オレは大丈夫だよ・・・。まだやることがいっぱいあるんだ。
 寝てる場合じゃないな・・・。今日もタンバリンの発注が来てさ・・・。
 でも何だか、胸が痛くてな・・。目がかすんできた・・。
 ゴホッ!ゴホッ・・・!

 父さん!もう話さない方がいいよ!

 いやいや・・・。オレはお前とまだまだ話したいよ・・・。
 お前に教えなくちゃならないことがまだ山ほどある・・・。
 そうそう・・・。この前お前が手伝ってくれたバンジョーな・・・。
 あれスティーブさん、喜んでたぞ・・・。
 フレッドには楽器作りの才能があるはずだって・・・言ってた・・・。
 ゴホッ!ゴホッ・・・!

 父さん!

 フレッド・・・。このタンバリンを見てみろ・・・
 革を伸ばして・・・張って・・・まだまだ伸ばして・・・張って・・・
 もうこれ以上伸びないって自分が決めたら・・そこで終わってしまう・・・。
 それじゃあ、いい音は出ない・・・。
 まだまだ伸ばして・・・張るんだ・・・まだまだ伸びる・・・どこまでも・・・・・

 ・・・・・・・・

 あなたぁぁぁぁ~ !!!!!  父さぁぁぁ~ん・・・ !!!!


=半年後。=

 フレッド・・・まだ落ち込んでるのね・・・。
 いつまでもそんな顔してたらパパも心配するわよ・・・。

 ねぇ母さん・・・。父さんの楽器屋さん、ボクが続けるよ。
 だって、父さんのタンバリン、世界中の人に見てもらいたいんだ!


そして、フレッド26歳。
グレッチ社は10階建てビル全てを倉庫と工場にするまでになりました。

53歳のときにフラット・トップのアコースティック・ギター
「ブロードキャスター」 をデビュー。

60歳のときにピックギターの 「シンクロマティック・シリーズ」 をデビュー。

フレッドは62歳で引退し、銀行を経営していた息子のビルが後を継ぎました。

しかし、世の中は第二次世界大戦に突入・・・。
グレッチ社はガスマスクを作っていました・・・。


ビルは44歳で急死し、フレッドのもう一人の息子、弟のジュニアが継ぎました。
ジュニアは兄のようにエリートではありませんでしたが、
10歳の頃からフレッドの仕事を手伝っていた、たたき上げでした。

 こら!ジュニア。またサボってるのか!
 お前のじいちゃんが作ってたタンバリンはな・・・

 分かってるよ・・・。またタンバリンの話かよ!
 革をどこまでも張るんだろ・・・。もうその話は聞きあきたよ・・・。
 そうそう!今度、ピックギターにディアルモンドのピックアップを載せるんだよ。

 何じゃと!ついに完成したのか!

 うん。それ 「ダイナソニック」 って名前にしようと思うんだ。
 なかなかイケてるだろ・・・!
 おっと、もうこんな時間だ。 じゃあ、オレ得意先、回ってくるよ。
 年寄りはゆっくりお茶でも飲んでろよ。 じゃあな・・・!

 こら!ジュニア!お前、ディアルモンドって・・・・・

 ・・・そうか、後はジュニアに任すとしようかの。ワシの出番はもう無いわい。
 さあ、おいで、ジョン(犬)。川まで散歩でも行くとするか・・・。

 ワン!


フレッド・グレッチは1952年に亡くなりました。


=ジュニア(フレッドの葬儀の後)。=

 父さん・・・。
 ギブソンが 「レス・ポール」 っていう金色のソリッド・ギターを出しやがった。
 オレ、悔しくってさ・・・。絶対オレ負けないよ・・・。
 来年、うちもソリッド・ギター、やってみるよ。
 向こうが「金」ならオレは「銀」だ。ラメラメの派手なやつにしてやる・・・。

 そう言えばな・・・、父さん心配するから言ってなかったけどな・・・。
 ちょっと前にフェンダーがソリッド・ギター作ったとか聞いたから見に行ったら
 ヘッドに書いてある名前が 「ブロードキャスター」 だって・・・!

 あいつら満面の笑顔で言いやがった。
 カントリーもこれからはソリッド・ギターでやる時代ですよ!って。

 オレ、許せなくてな・・・。今すぐ、消せ!ってどなってやったよ。
 「ブロードキャスター」 は父さんが20年も前にアコギにつけた名前だもんな。
 
 あの時の父さんの嬉しそうな顔、今でも覚えてるよ・・・。

 (おい!見ろ ジュニア!うちの初めてのギターだ。
名前はブロードキャスターだ!こいつは世界中でしゃべりまくるギターだ!
  なかなかイケてるだろ!ハハハハ・・・!)

 「ブロードキャスター」 は永遠に父さんだけのものだよ。
 うちのドラムにもちゃんと 「BROADKASTER」 って書いてある。

 父さん・・・、オレ、また じいちゃんのタンバリンの話、聞きたいよ・・・。



そして、永い永いグレッチの歴史はどんどん発展し、
現在もその伝統を引き継いでいます。


※言うまでもありませんが、
この 「グレッチ家物語」 は勝手な再現ドラマでフィクションです。


フェンダーのテレキャスターが当初 「ブロードキャスター」 だったのは事実です。
グレッチ社が持つ商標により、「テレキャスター」 に変更されました。
ヘッドに記すブロードキャスターのデカールは急遽貼れなくなり、
名前無しで出荷された51年頃のモデルは 「ノーキャスター」 と呼ばれています。



フリードリッヒさん、フレッドさん、そしてジュニアさん。
あなたたちが人生を捧げた 「Gretsch」 は今でも大活躍してますよ!





9/21 Gretsch G6119B Broadkaster 2006年 デビューしました!



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