Greco GO900

こちらは Greco GO900 1978年です。
グレコのオリジナル・モデルのひとつです。

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フェンダー&ギブソンのコピー・モデルの大競争時代だった70年代。

ジミー・ペイジやジェフ・ベック、エリック・クラプトンに憧れて
レス・ポールやストラトの顔をしたギターが爆発的に売れた時代です。

しかし70年代中期以降にはブランド独自のモデルも試行錯誤しながら
開発が進められました。

YAMAHA は 「SGシリーズ」。
Ibanez は 「ARシリーズ」。
Aria は 「PEシリーズ」。

Greco は 「MR(ミスター・シリーズ)」、「M(ミラージュ・シリーズ)」。

 そして 「GO(ゴォー・シリーズ)」。

グレコとイバニーズの製作をしていたのは同じ富士弦楽器さんです。

ですから グレコの「GO」とイバニーズの「AR」は親戚関係で
パーツも共用されていますので顔もよく似ています。

どちらも間違いなく超高級ブランドだった新星アレンビックの
高い完成度を意識した仕様ですので、スルーネック方式は当たり前。

それで10万円を切る値段で普通にレギュラーでラインナップしていました。
今では考えられないような高コスト&低価格で
割りに合わなかったのではないでしょうか。

しかしながら、いつまでもコピー・モデルに頼っていてはいけない。
これからはオリジナル・モデルで勝負するのだ!

という当時の楽器製作に携わった方々の魂が込められています。

当時は売れるかどうか分からなかったけど、
新しいギターの開発に果敢に挑戦した職人さんたちに
リスペクトの想いを込めてフル・レストアしました。

やはり素晴らしい!日本の技術力の結晶です!





こちらは Greco TRH-120 1987年 です。
こちらは更に進化した80年代のオリジナル・モデル。

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グレコは製作を担当していた富士弦楽器が
フェンダー・ジャパンの製作も併せて担当することになったために
1981年をもってフェンダーのコピー・モデルから撤退しました。

以降の「ミント・コレクション期」からはギブソンのコピー・モデルと
オリジナル・モデルにラインナップが一新しました。

この TRH-120 は 明らかにテレキャスターのデザインをベースに
開発されたモデルですが、仕様や仕上げをよく観ると
当時イケイケだった?「バレー・アーツ」の香りがプンプンします。

オリジナル・モデルというものは伝統的なスタイルを脱ぎ捨てて
新たなものを生み出すことがコンセプトだったのでしょう。

それもなかなか難しい・・・。

しかしそれを実践し、時代の先端に立って一時代をリードしたのが
アレンビックやバレー・アーツだったのでしょう。

渡辺香津美さんが愛用されてバリバリ多彩な機能を発揮されておりました。


グレコ版バレー・アーツ 「TRH」 もなかなかのものです!





こちらは Epiphone Sheraton 1979年頃 です。
超珍しいストップ・バー仕様!

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エピフォンのセミアコ最上級モデルであるシェラトン。
ヘッドの花柄インレイがおしゃれですね。

シェラトンもエピフォンがギブソンに買収されてから誕生したモデルですが、
歴史は永いです。

ギブソン・メイド時代はミニ・ハムバッカーですが、
日本のマツモク工業で製作された70年代はこの仕様です。

やがて寺田楽器さん、それから韓国へと生産拠点が移っていくのですが、

今回のこのシェラトンはどうも普通ではありません。


エピフォンのセミアコと言えば、
ノッポとチビが並んだフリーケンセイター・テールピースが特徴ですが、
今回のモデルは純正でストップ・バー仕様です。

それにロッドカバーに 「E」マークがありません。
ピックガードはバインディング付きのべっこう柄ではなく、ブラックです。

これは日本のマツモク工業で製作された1本ですが、
おそらく輸出モデルだったと思われます。



エピフォンの歴史で一般的に知られているのは

ギブソン・メイドの後、1970年以降は生産が日本に移った。
つまり、1969年まではギブソンの工場で製作されていた。

これを読むと、

そうかぁ・・・。
エピフォンは1970年からマツモク工業で作られるようになったんだ。

と普通は思われることでしょう。(私も永い間そう思っていた!)

しかし、実際はマツモク工業でエピフォンの製作が始まったのは
何と1962年なのです!

何やな!そんなこと知っとるがな~。
(という人はエピフォン検定5段!)


つまりエピフォンは アメリカ・ミシガン・カラマズーのギブソンの工場で
製作されながら、62年以降は日本でも並行して製作していたのです。

このことを知っている人は少ないと思います。
それはこのマツモクでの並行製作モデルは輸出モデルで、
日本国内ではほとんど流通していなかったからだ。と私は推測します。

この輸出用マツモク・エピフォンはモロに「ビザール」です。
だって考えてみれば、当時のマツモク工業って
「アライ・ダイアモンド」とか作ってた時代ですから。

これが輸出用マツモク・エピフォンです。
http://www.matsumoku.org/models/epiphone/catalogs/1974/catalog_th.html



ネタがとんでもなくマニアック過ぎてついて来られない人もいると思います。
この辺でやめておきます・・・。


今回のシェラトンはその輸出用マツモク・エピフォンの流れを汲むモデル!

ということが言いたかっただけです・・・。


トラスロッドが終点に近かったですが、ネック・アイロン・ヒーターでシワ伸ばしして
ロッドは完全に振り出しに戻しておきましたので当分安心です。





こちらは Guyatone SG-12T 1966年頃 です!

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日本のエレキギターの文化を確立し、
永い間楽器業界を支えてきたグヤトーンが最近廃業されたそうです。

ひとつのブランドが消えてしまうのは寂しい気もしますが、
そうでも無い。 と思っています。

何故なら永い間、世に広め続けてこられたグヤトーンのギターたちが
急に消えてしまう訳ではないからです。

会社は無くなってしまってもその生み出されてきた文化は
ちゃんと 「形」 があって確かに今も存在しています。

ライトニンだけでも店内を見回すとたくさんの60年代に活躍した
グヤトーンのギターがいくつもおります。

「ビザールギター」としてひとくくりにされている
「テスコ」とか「エルク」とか、60年代、70年代に既に幕を下ろしたブランドも
普通に存在しております。

国産以外でもとっくの昔に終わったブランドのギターだらけです。

きっと全国、更に当時たくさん輸出されていたので、
全世界にはかつて日本の楽器製作職人が魂を吹き込んだ
素晴らしい楽器が山ほど生き続けていることでしょう。

私たちはその灯が消えないよう継承することはできます。
それはちゃんと道具として使い続けてあげることですね。

私たち永遠のギターキッズが健在なうちはグヤトーンが消えることはありません。
私がギターと向き合えないような歳になって、この世を去っても
グヤトーンは次世代のギターキッズに護られて消えることはありません。


今回の SG-12T は フル・レストアでお預かりしました。

経年変化でネック&ボディ本体、電装、ハードウェア、全て完全アウト。
指板も剥がれてベロベロ状態でしたが、1週間ほど掛けて完全復活しました。

新品に見間違うとまではさすがにいきませんが、
パッと見はそれに近いところまではいけました。

弾き心地もめちゃめちゃ良くなりましたので大満足です。


ギターは間違いなく人間より長生きします。
そんなのウソだと思う方はライトニンにおいで下さい。

超ご高齢のギターたちをご紹介してあげますよ。






こちらは YAMAHA SA-700 1980年頃 です。
パーシモン・レッドがシブい1本。

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この SA-700。
私のよく知っている方からお譲り頂いた1本です。

私と同じくブルースを愛されておられる方で
ライブやセッションもよくご一緒させて頂いています。

ギターの腕前もとても素晴らしい方で
しっかりとブルースのツボを押さえたエキサイティングなプレイに
聴いていてもとても楽しくなってビールが美味しくなります。


しかしながら、この SA-700 をバラしてみて私は驚きました。

あの60年代のバディ・ガイのようなスクィーズ・ギターを弾いておられる
私が知っているあのブルースマンのギターとは思えなかったのです。


ギターをバラしてみると、どんな風に使っておられたか一目瞭然です。
実はそこから前オーナーさまの性格や生活スタイルが見えてくるのです。

この意味は古物を修理する同業者なら解って頂けるはずです。
多分、ギターに限らない話だと思います。

中には美しい女性が持って来たギターを修理で預かったら、
この人の部屋、ゴミ屋敷なんやろなぁ・・・。
なんてことも・・・。


この SA-700 の前オーナーさまは とても繊細な性格の方だということが
バラしてみたら解りました。

フレットの減り方ひとつ診ても解りますし、
きちんと維持管理されてきたことも解ります。

ご本人はきっとそんなことないよ。 とおっしゃるかもしれませんし、
私も正直 割りに大雑把なブルースマンだと思ってましたが、
全然そうではありませんでした。


そうなんや~。意外やな。
ちょっと見習わなあかんな~。 ちょっと反省しました。





こちらは Rickenbacker 4001。

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修理についてのご相談の電話が毎日たくさん掛かってきます。

とてもありがたいことです!

私が専門家としての知識や経験でお役に立てるなら
出来るだけのことは何でもやってみよう。と常々思っていますので、
電話で何がどうなっているのか尋ねながら頭の中にギターを思い浮かべます。

しかしながら、電話でお聞きして細かい状況を把握するのは
ハッキリ言ってかなり難しい伝言ゲームです。

ふんふん、なるほど。それはですね・・・。と、
すぐに理解できるようなことをおっしゃる方は大抵ご自分で治せる知識を
持っておられます。

情報を聞けば聞くほど頭の中に 「?マーク」 が増殖していくことの方が普通です。



あのぅ・・・。お店のホームページを観てお電話させて頂いたのですが、
 ちょっとお尋ねしてよろしいでしょうか?

はい、おおきに!どうぞ!

ギターの修理についてなんですが、そちらはギターの修理もされるのですかね?

はい。何でもやってますよ。どうされました?

実は音がちゃんと鳴らないんですよ・・・。

(?)それはエレキギターですかね?アコースティックですか?

はい。エレキギターです。

アンプにつないでも全然音が出ないのですかね?

いや、鳴るのは鳴るのですが、何かブーとかバリバリとか鳴ってます。

(??)とりあえず音は出るけどもノイズが酷い。ということですかね?

いや、止まったり、ブーとか・・・バリバリ言ったり。
それで何かピックアップのところがガタガタしてて、多分そこかなぁ・・・。

(???)ピックアップの取り付けがガタガタしてて、
その辺りを触ると大きなノイズが出たりするのですかね?

いや、ピックアップが付いてる土台みたいなところの
金具の横につないである部分の裏側の下が変みたいで・・・。

(????)ええっと、ギターはどこの何ですかね?

古いレス・ポールみたいなやつです。
そんなん治すのはどれぐらいかかりますかね?

(?????)すいません・・・。
さっぱりおっしゃっておられる意味が解りません。
でも多分、現物を見たらすぐに解りますし、費用もそんなにかからないと思います。
一度ご都合の良いときに持って来てみて下さい。


-数時間後-

あのさっき電話した者なんですけど・・・。

ああ、はいはい。どうぞ。ちょっと診てみましょうか・・・。

 ギターを診る・・・。

まず、弦がサビサビ。
覗いて見なくてもネックが凄まじい順反り状態であることが判る。
ピックアップのバネが弱くてグラグラ。

 アンプにつないで診る・・・。

ジャックのナットが素手で回る。
コントロール・ポットの取り付けナットが緩んでいてグラグラ。
酷いガリで鳴ったり鳴らなかったり。
ピックアップ・セレクターが作動したりしなかったり。


なるほど・・・。ちょっと待ってて下さいね。

 緩んでいるナットを全部締める。
 接点復活剤でガリを完全除去。
 トラスロッドでネック調整&弦高調整。
 エスカッションを外してピックアップのバネ調整。
 ついでにストラップピンの緩みも締め込み。

はい。これでもうバッチリいけますよ。(作業時間約5分)

ええ!もう治ったんですか?

はい。1回弾いてみて下さい。 はい、どうぞ・・・(ギターを渡す。)
 もう音も途切れませんでしょ。

ホンマや。うわ。めっちゃ弾きやすなってる・・・!
 何が悪かったんですかね?

ネックの反り 治して、緩んでるネジ締めて、電装の接点掃除しただけです。
 とりあえず、弦 替えなはれ。

へえ・・・。すいません。ありがとうございます。
 ほな、いくらですかね?

別に大したことしてませんからもういいですよ。

いや、それはあきませんわ!
 またお世話にならなあきませんから払います、払います。

ほな、一万円もろとこかな・・・。

ええ!いや、それはちょっと・・・。

冗談ですがな。ほな工賃として千円だけもろときましょか。

ああ、良かった!一万円払ろたら今日メシ食えませんがな。
 ほなついでに弦も1セット買うときますわ!

はい!おおきに!

ありがとうございました!
 ギター上手なったらギブソンのビンテージ買いに来ますわ!

ほな エエのん(良いもの)用意しときますわ。
 また何でも言うて下さい。


大体こんな感じがほとんどです。
リペアとか言うほどの修理ではありません。



今回のリッケンバッカーの4001は
リア・ピックアップのボビンが割れてしまっていて
装着不能になってしまっていました。

しかも高さを調整するネジがちゃんと噛みません。

ボビンの破片を接着してエポキシで補強して
ネジを切り直したらバッチリ復活しました。


こちらも最初お電話でのご相談でしたが、
伝言ゲームではさっぱり意味が解りませんでした。

ギター屋さん、3軒回ったんですけど、
 どこもこれは修理できませんって言われたんですよ。

・・・って、ビビった分、損したがな!



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